親愛なるチャイコフスキー

今日は私の愛読書に最近加わった一冊を紹介させていただきます。

数年前に読んでまた最近読み直し、1回目よりも更に深く感動した本です。

タイトルは「クリンへ帰る旅びと チャイコフスキー物語」ひのまどか作 リブリオ出版

この本の冒頭で、「交響曲第6番《悲愴》」を作曲した時のチャイコフスキーの内声が紹介されていました。

 

――わたしは弱い人間だが、弱いからこそ人の世の苦しみや悲しみを真剣に受け止め、それを芸術の上に昇華することができる。その芸術によって人びとをなぐさめることができる。同じ悩みをかかえる者がいると知れば、人は自分の運命にもたえることができるだろう。

この交響曲は、わたしの魂のもっとも正直な告白だ。わたしの心の底からのさけびだ。これにこたえてくれる人びとは、わたしと手をとりあって泣こうではないか。

 

私はこの1頁目を読んでとても心惹かれ、更に物語が始まってすぐに、内気なチャイコフスキーが初めて自分の作曲した「弦楽四重奏曲」を緊張の内に文豪トルストイに聴いてもらったシーンで、トルストイが涙をもって深い感動を伝えた時のチャイコフスキーの歓びの内なる声…

 

――ぼくは、まちがっていなかったんだ。みんなの反対をおしきって作曲家になったことも、だいすきなペテルブルグ(現在のレニングラード)をすてて、モスクワへきたことも、みんなにこきおろされながらも、自分の思うように書きつづけてきたことも、全部が全部、これでよかったんだ!ああ、これでやっと自信が持てる。ここまでくるのに十年以上もかかった。なんという長い年月だ。苦しみと悩みだらけの年月だった。しかしそれも、今となってみればなつかしい。

 

チャイコフスキーという大作曲家が一気に近しいひとりの人間として私の前に立ち現われ、そして物語は更に深く細やかにチャイコフスキーの現実と内面に触れていきます。

子どもでも読めるように書かれているこの「作曲家の物語シリーズ」は他の作曲家についてもとても内容が充実していました。よかったら1冊手に取ってみませんか?

 

そして「くるみ割り人形」。初めて取り組んだ時には、「なんだ、この旋律、もうっ、弾きにくい」と悪態をつきながらだったのに、今はその素晴らしさにあらためて感動しています。

クリスマスの日に図書館で借りたバレエ「くるみ割り人形」(演出・振付ルドルフ・ヌレーエフ パリ・オペラ座バレエ団)を観て(聴いて)、またまた凄い!の連続。組曲8曲以外も弾いてみたいな、なんて思う程です。

 

「青空」今年最後の練習会はクリスマス・イブの日でした。いつもの練習曲に加えてクリスマス・メドレー、私はオタオタついていくばかりでしたが、毎年合奏しているというアレンジの素敵なこのメドレー、みんなで合わせる、その機会を持てる事自体が貴重で感謝です。

みなさん、1年ありがとうございました。どうぞ良き年をお迎えくださいませ。