シニアアンサンブルのための楽器知識 その11

前回に続き、全シ連・岡村理事長のご執筆です。


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[11]  エレキギター(EG)


◎  ギターの略歴
  以前、このコラムの欄でエレキギターは20世紀文明 が造り出した代表的な楽器であると述べましたが、最初にギターの歴史をふり返ります。
ギターの直接の先祖は12~13世紀に出現した小型の 中世風のギターです。16世紀には弦の数も4本、17~18世紀には5本となり1800年前後に現在の6本の弦が定着しました。 古くから南欧で好まれて、民間の歌や踊り(フラメンコ)の伴奏に使われ、またクラシッ クではボッケリーニやパガニーニ、タルレガらによって 名曲が作られています。 ギター属にはシタール、ウク レレ、バラライカ、月琴、三味線などがあり、これらの由来にはスペインの宣教師や貿易商らが関わったも のと考えられます。
  日本では戦前は流行歌などの伴奏用としてスチール 弦によるクラシックギターが中心でしたが、昭和28年頃のフランス映画「禁じられた遊び」はナルシソイエ ペス演奏の1本のギターのみによる映画音楽の完遂が世界に感動と驚きを与え、ナイロン弦の開発と共にガッ ト弦による高級なクラシックギターが普及されるようになりました。新堀ギター教室も一時ブームになりま した。

◎エレクトリックギターの出現
  ギターは一般大衆の歌の伴奏用に普及しましたが、放送や演奏会用には音量がやゝ足りないため、これを拡声するためエレクトリックギターが開発され、特にハ ワイアンやウェスタンでも使用されました。ハワイア ンスチールギターも開発されました。バッキー白片、大橋節夫、和田弘などが思いだされます。
  また、ウェスタンではプレスリーなどですが、彼は後にロカビリーに変化してゆきます。音域などはクラシッ クギターと同じですが演奏には殆どピックを使用する点が、大きく異なります。

 

◎エレクトリック ソリッド ギターの出現
  前述のエレクトリックギターは基本的に従来のギターにマイクとアンプをつけたものでしたが、1960年代に入りギターの胴体の中空がない、板だけの新型ギター が出現します。これを使用した“ザ、ベンチャーズ“というグループは歌のないギターのアンサンブルを演奏し、その 切れのよさと早い演奏に世界の若者を熱狂させ、日本で も「エレキブーム」として大騒ぎになりました。但し、こ のブームは意外に早く下火になります。若者がエレキギター の「カッコよさ」にとりつかれてバンドを組んで調弦をお ろそかにして音量を上げたので町中が騒音になりエレキ 大会への貸与を中止するホールが続出したためです。
  最近、その頃の若者が定年となり、「おじさんバン ド」として復活し、ザ、ベンチャーズも度々来日しています。
  エレキブームの後、ビートルズ旋風が世界を騒がせましたが、この楽団のエレキギターはセミアコースチックと云っ て、従来のエレクトリックギターとソリッドギターの中 間のものです。しかしその他のロックグループは殆どパン チのあるソリッドを使用しています。


◎SEとしてエレクトリックギター
  「エレキブーム」がもたらした産物としてエレキベースがあります。ギター弦の巻線を太くし、4弦でコントラバ スと同じ音域で演奏でき非常に便利です。これを使用する場合、大きい出力のアンプを使用するようにお奨めします。 但し運搬が厄介ですからその点をご勘案下さい。
  一般のエレキギターの特色は「テケテケ」でご存知の 通り早いパッセージを非常にクリアに演奏できます。少し 音質が堅いので、ロックのように激しく演奏する以外は 音量をコントロールするとよいでしょう。

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