SE団員の為の楽器知識-その8:サキソフォーン

19世紀中頃ヨーロッパの工業の中心地ベルギーで、機械工のアドルフ・サックスにより制作された。管楽器の最大顧客であった軍楽隊へ販路を開拓するのが主の目的であったと想像されます。サックス氏は金管楽器と木管楽器の音色をより良くブレンドする楽器をめざし、両方の長所を備えた円錐管を主体にした管楽器の試作に成功した。サックス氏はパリの万国博覧会に出品、世の注目をあびる事となりました。やがてフランスの軍楽隊に採用される事となったが、ダンス楽団やオーケストラの定席を持つ事はありませんでしたが、多彩な音色を求めていた印象派の音楽家(ドビッシー、ラベル、ビゼー等)により紹介されるようになって行きました。

 

 

後に、ロシアの音楽家(ハチヤトリアン、グラズノフ、ムソルクスキー、ショスタコーヴィチ等)の作品にその使用がみられます。一方ポピュラー音楽への影響は20世紀を待たねばなりませんでし

た。

 

アメリカの南北戦争が終わり、南軍の武装解除に伴い軍楽隊(フランス式)の楽器が放出され、黒人の手に渡る事によりサキソフォーンの運命が大きく変わる事になりました。ブルースとの出会いによりニューオリンズからシカゴへそしてニューヨークへと移動しながらその存在感を増していったことは周知のとおりです。

一方教育の世界におけるサキソフォーンは吹奏楽の普及と共に学校音楽になくてはならない楽器となり、楽器産業の一翼を担うまでになりました。

 

サキソフォーンの種類

Eb管:アルト・バリトン

Bb管:ソプラノ・テナー・バス

全部、同一運指である。

アドルフ・サックスはすべての調子のサキソフォーンを試作したといわれているが、最終的にはEb管とBb管が残りました。

 

ソプラノ・サックス

アルト・サックス

バリトン・サックス

サキソフォーンは、その音量の大きさゆえに他の楽器や指揮者に嫌われる傾向にあります。それは、長所でもあり、短所でもあります。音量をおさえるにはマースピースのくわえ(深さ)を浅く(小さく)することで、解決できます。

 

音程の不安定・・・常にチューナーを用いて、チェックを怠らないこと(コンタクトマイク+チューナー)

 

追記:サキソフォーン奏者のレジェンド達 

クラッシック:マルセルミュール(パリ音楽院サキソフォーン科初代教授)坂口 新(東京芸術大学サキソフォーン初代教授)

ポピュラー:サムティラー(ハーレムノクターンほか)スタンゲッツ(イパネマの娘ほか)チャーリーパーカー(チュニジアの夜ほか)

 

管楽器の合奏などでサックス4重奏は最も素晴らしく人気があります。サックスを担当する人は早く正確な音程や強弱をマスターして団員皆に頼られる存在になって下さい。

 

鏑木 融(かぶらぎ とおる)