SE団員の為の楽器知識ーその7:クラリネット

★クラリネットはどのようにして生まれたの? ★

 

吹奏楽ではオーケストラのヴァイオリンにあたるような役割を担っていると言われるクラリネットは、その先祖が中世にフランスの民族楽器として演奏されていたシャリュモーだと言われています。シャリュモーは指孔を直接押さえマウスピースをくわえて音を出す素朴なもので、1オクターヴぐらいの音域しかなかったようです。

18世紀の初めごろドイツの楽器製作者デンナーによるレジスター・キイ(キイ操作で12度上下する)の発明により、現在のクラリネットにまで進化できたのです。木管楽器に分類されるクラリネットは、1枚のリード(材質は葦の一種のケーン)を用いるシングルリード楽器の代表的な楽器であり、管体は黒檀やグラナディラ材などの硬い木材で作られています。

 

★ 他の楽器よりも音域が広いのはなぜ? ★

音響学的に、他の木管楽器と比べると他の楽器の内径の形が円錐形なのに対しクラリネットはほぼ円筒形に作られており、閉管パイプと呼ばれています。さらに、前述のレジスター・キイの採用により、クラリネットの音域は他の楽器に比べて広く、およそ4オクターヴ近く出ます。また、倍音成分を多く含み、特に高音域ではいくつも替え指(指使い)が存在することも特徴のひとつとなっています。音域が広く、表現力も豊かで、温かみのある音色はアンサンブルに欠かせませんね。

 

★ 移調楽器といわれるのはなぜ? ★

一般にクラリネットといえばB♭管を指しますが、すべての調を1本で正確に演奏するには構造上音質、音色、音程に難があります。オーケストラやクラシックの曲によっては必要に応じてC、E♭、B♭、A、アルト、バスなどに持ち替えて演奏することがあります。これにより煩雑な指使いを避けることができるのです。C管以外は移調楽器と呼ばれ、記譜上の

音と実際に出る音(実音)は異なります。例えばB♭管では、記譜上の「ド」を吹くと実音「シ♭」の音が出ます。従ってチューニング時の「ラ」の音は記譜上「シ」の音になります。

 

★クラリネットが活躍する楽曲はなに?★

西洋音楽の交響曲、管弦楽曲の中では、有名な作曲家がたくさんクラリネットのソロ旋律を書いています。また、クラリネットのための協奏曲、室内楽曲、器楽曲などの作品も多数あり、ここではほんの一例を紹介します。

 

モーツァルト:クラリネット協奏曲

クラリネット五重奏曲

ウェーバー: クラリネット協奏曲

クラリネット小協奏曲

ブラームス: クラリネット・ソナタ

クラリネット五重奏曲

ガーシュイン:ラプソディ・イン・ブルー

 

★ SEに役立つアドバイス ★

楽器演奏経験が短い場合は、音楽教室などで正しい奏法を習得することをお奨めします。独学で奏法上の良くない癖が身についてしまうと、その後なかなか上達しにくい場合があるようです。

発音体であるリードはマウスピースやアンブシュアと密接に関係して音質、音色、音程に影響しますので、適正なリードを選びましょう。リードが少し厚いと思われる場合はサンドペーパーなどで研磨調整することをお奨めします。

替え指の効用ですが、速いフレーズ、トリルなどがスムーズに演奏できる場合がありますので、運指表などを参考にして試してみるとよいでしょう。

ジャズ演奏を志す方には、クラシックでは禁じられているのですが、ヴィブラート(下あごを上下に微動させてワウワウの感じで音程に変化をつける)やピッチベンド(しゃくり上げ)など、必須の奏法を練習するのもよいでしょう。

最後に一言、演奏が上手になるためには、先ず練習が第一ですが、次にいい音楽をいい演奏でたくさん聴くことです。生の演奏会がベストですが、CDなどによる演奏もOKです。特にクラリネット演奏の曲は、たくさん聴きましょう。