「シニアアンサンブル」の特色は五線譜を演奏できる楽器はなんでも参加できるということがひとつです。伝統的なクラシックの室内管弦楽には異色のピアノ・キーボード・ギター・マンドリン・サックスなどが多彩な音楽表現を可能にして、演奏する側にもそれを聴く側にも新鮮な喜びをもたらしています。またシニアの苦手な音程やリズムをリードする役目を果たしています。この素晴らしい楽器構成を考えた人は称賛に値します。
しかしギターが本領を発揮できるのはクラシックの分野ではないようです(もっとも限度はありますがハープやチェンバロの手軽な代用にはなりえます)。反面、映画音楽やラテン、そして一般に根強いファンを持つ演歌や民謡の世界ではギターは大活躍できます。その奏法は多彩であり、ラスゲアード奏法(和音を掻き鳴らす)、トレモロ(マンドリンのように連続音を出す)、あるいは胴体の異なる部分を叩くなどを効果的に使用すれば痺れるような味付けができます。その音色は微妙で琴のような硬い音色から笛のような柔らかいものまで自在です。
問題はそれを活かす編曲です。元来ギターはピアノのような独奏楽器であり、ベートーヴェンは「ギターは小さなオーケストラ」と言ったそうです。バッハはギターの前身であるリュートのために多くの作品を残しました。モーツァルトは例えばオペラ「ドンジョバンニ」にギターを使おうとしましたが、当時のギターはガット弦でよく切れるのであきらめたとか。劇場音楽が大規模化するに従って音量の小さいギターはクラシックの本流から忘れられました。
その後電気の普及とアンプの高性能化によって現代の音楽にはギターは不可欠の存在として復活しました。今日テレビやラジオで…ドラマのバックに、コマーシャルに…耳を澄ますと必ずと言っていいほどギターの音が流れているのに気付くでしょう。ギターは音楽の中心に返り咲きました。
ところでわたしがここでギターと呼んでいるのはいわゆるクラシックギターです。一口にギターと言っても、ジャズギターあり、ロックやポップスに不可欠となったエレキギターは楽器の形態も奏法もかなり異質のものです。爪で弾くかピックを使うかでも全く違った音楽になります。
クラシックギター
・ナイロン弦
・ネックが太い
・爪で弾く
フォークギター
・スチール弦
・ネックが細い
エレキギター
・スチール弦
・ピックで弾く
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